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~東方最前線~  TOUHOU the front line
 
第一前線 フォールオブフォール「秋めく滝の防衛線~要塞の山 九天の滝」
 
~視点『鬼一法眼 鞍馬』~
 
 「侵入者だと!?馬鹿もの…なぜ、この距離になるまで気がつかなかった!
哨戒部隊は何をしていたのか!白狼天狗たちは!」
「侵入者の詳細は不明です。がどうやら『九天の滝』の真下から着た模様です。」
「…九天の滝からだと?河童からの連絡は何もなかったが…本当に侵入者なのか?」
「間違いありません。…侵入者と思われる人影が依然接近中です。」
「人数は?」
「それが…一人のようです。」
「…たった一人でこの妖怪の山の要塞に取り付くつもりか!?
…迎撃部隊の展開状況は!!」
「現在、『藤』隊が迎撃に向かっております。」
「いい初期対応だ。他の部隊の展開状況はどうなっている?」
「はっ。藤小隊の後に現在、後詰として『萩』小隊が向かっています。」
「…それぞれの陣形はどうなっている?」
「藤小隊は現在、『五光』の陣にて滝の裏手から順次発進、攻撃中。
続いての萩小隊は『八橋』の陣にて待機中です。」
「…『藤』小隊からの連絡。…シンニュウシャハ『ハクレイノミコ』トオモワレル。」
「『博霊の巫女』だと!?…何故博霊の巫女がこのようなところに…。」
「大変です!『藤』小隊、突破されました!…こんなにも早く!!」
「あかよろし、うろたえるな。我々まで焦って迎撃体勢を崩しては敵の思うつぼだぞ。
みよしの、萩小隊は攻撃を開始しているな。」
「すでに展開、交戦中です。…しかし、突破も時間の問題と藤小隊長が!」
「やむをえないな。『菖蒲』小隊、『芒』小隊を順次出させろ。
…萩小隊もそうもちはすまい。
みよしの、小隊長の使用している『ウイルス弾幕』の効果は?」
「一定の効果を上げていると各小隊長からの報告があります。
…ですが、一瞬ひるむだけで回避に専念し、弾幕を切り抜けている模様です。」
「あのウイルス弾幕ですら効果が薄いか。
…みよしの、現在、哨戒活動中の白狼天狗の部隊は?」
「ええと…『犬走 椛』の隊です。」
「…椛か。彼女なら威嚇射撃で出方をみるはず。
…みよしの、椛隊の攻撃終了と同時に、付近にいるこちらの分隊は順次『八橋』の陣形で攻撃を開始せよと伝えなさい。」
「解りました。」
 
「!!!椛隊!戦闘を開始した模様です!」
「早すぎる!…みよしの!付近の烏たちに連絡、こちらの迎撃部隊の後に攻撃せよと。
あと、至急『射命丸 文』を呼び出してくれ。」
「文を?…ですが、彼女は報道機関、新聞記者ですが…?」
「そうだ。…だが、確か彼女は『博霊の巫女』とは懇意のはずだ。
新聞のネタにもなっている。彼女に、巫女の目的を探らせる。
これ以上白狼天狗たちを出してもこちらの損害が増える一方だ。」
「解りました。…山内緊急放送…『射命丸 文』は直ちに、『僧正坊』まで出頭されたし。」
 
「犬走 椛、報告いたします。」
「…うむ。」
「我が隊は博霊の巫女と思しき侵入者に威嚇攻撃並びに、威力偵察を実施しました。
…強さはご覧になった通りです。私自身もこちらの迎え烏に引っ張ってこられなかったらどうなったか解りません。強さと言い、その容姿といい相手はあの博霊の巫女に間違いないと思われます。」
「…そうか、やはり侵入者は博霊の巫女か。…私の判断に間違いはなかったな。
椛、報告ご苦労だった。引き続き別命があるまで待機してくれ。」
「ハッ!…失礼いたしました。」
「…あかよろし?現在の状況は…?」
「はい、椛隊の後に続いた『八橋』の部隊は突破されつつあります。
烏隊は第一波が到着次第、順次攻撃予定です。…陣形は『霧流れ』とのこと。」
「では、烏隊の第一波の後に二個小隊を投入せよ。陣形は『八橋』と『五光』で対応。」
…みよしの、『松』『梅』『桜』の三人に発進準備を。その後に烏隊の第二波を展開させよ。」
「『表菅原』を全部投入でありますか?」
「やむをえまい。…三人を出すと、迎撃部隊に後はないが…。」
 
「射命丸 文、ただ今出頭いたしました。」
「よろしい。では、『射命丸 文』に命じる。直ちに、侵入者との交渉にあたれ。
…何を思ってこの妖怪の山に侵入したのかを…な。」
「えっ?…わ、解りました。」
「…では、直ちに向かえ。すでに侵入者は九天の滝を抜けようとしている。
もはや一国の猶予もない。」
「あの…一つお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「む?何だ?」
「…なぜ私が呼ばれたのでしょうか?お言葉ですが、私は報道員であります。
通常こういったことは…。」
「そうだな。…確かに異例のことではある。だが、今回は相手が相手だ。
よって、その相手との交渉は…文、君が適任者だと判断した。
…ま、その辺のところは侵入者と会えばおのずとその答えも解るだろう。」
「ハ、ハア…」
「なお、戦闘に備えてこの『九十九の襟巻』の使用を許可する。もっていきなさい。」
「よろしいのですか?これは…。」
「貴重な品物だ。…大切にな。」
「わかりました。『射命丸 文』侵入者との交渉にあたります!」
「うむ。では、頼んだぞ。」
「ハイ!」
 
「…そうか、侵入者は山に入ったか…。ご苦労だった、文。
スペルカード戦で負けてしまったのならばしょうがない。しかし、『九十九の襟巻』の妖力をもってしてもダメとなると…いよいよ、私の出番のようだな。」
「いえ、待ってください。大天狗様、どうやら侵入者の意図は我々の思っていることと違うようです。」
「どういうことだ?」
「はい。侵入者の目的は山から迷惑な来客があったとの事でしたので、天狗社会に矛先が向かないように、最近現れた謎の神社の様子を見に行かせました。」
「ほう!?となると、文、貴方はわざとその侵入者の人間に屈したふりをして、最近現れたあの謎の神社を案内させることで、その侵入者の脅威を取り除いたということか。
…でかしたぞ、文。ピンチをチャンスに変えるとはまさにこのことだな。」
「ありがとうございます。」
「よくやった。…椛。」
「はっ、何でしょう?」
「引き続きその侵入者の人間の監視を命ずる。そして、その謎の神社の神様の様子をも監視しなさい。我々に害なす存在であるかどうか、またはそうではないのか…。
その真意を見極めてきなさい。」
「解りました。探りを入れてみます。」
「頼んだぞ。」
「ハッ!」
 
「…報告します。」
「うむ。」
「ハッ。侵入者の人間と謎の神様は戦闘になりました。ですが、その様子は遊んでいるようであり、またそれを楽しんでいるかのようでした。」
「ほう!?それは噂に聞く『弾幕ごっこ』というやつか。あれほどの強さの侵入者が戦ったのだから神様とのその戦闘はさぞ、見ものだっただろう?」
「ハイ。結果は侵入者の人間の勝ちでしたが、敗れた相手の神様も恨むどころか笑い飛ばしていました。また、侵入者の人間もそんな神様に対して親しげに話しかけていました。
…どうやら、謎の神様は友好的な性格をしているようです。
いえ、友好的だけではなくその侵入者の人間との会話とやり取りを聞くに、性格は実に
明るく、また頭脳も明晰のようです。よって危険性は皆無です。
むしろ、その神様と友好を築くことでこの山の妖怪の生活はより豊かなものになるのではないかと私は思いました。」
「なるほど。確かに信仰と山とは密接な関係にある。その神様に信仰が集中すればするほどこの山も豊かになるということだしな。…解った、椛ご苦労だった。もう下がっていい。」
「では、私はこれで…。」
「文、貴方の報道活動については一定の評価の対象にしなくてはいけませんね。私のほうから天魔様に話をつけておきましょう。貴方もご苦労だった。」
「ありがとうございます!」
 
「…みよしの、山内に『戦闘終了』を。」
「ハイ。…山内緊急放送、山内緊急放送、ただ今をもって第一戦闘態勢を解除。通常体勢に移行します。」
「みよしの、あかよろし、二人ともご苦労だった。」
「いえ…一時はどうなるかと思いました。」
「しかし、文さんの活躍で何とかなりましたね。」
「いや、文だけのではない。この妖怪の山の皆のおかげだ。今回のことは天魔様につぶさに報告しておこう。…九天の滝からいきなり現れたということ以外はな。」
「鞍馬様!?」
「ふふ、皆よくやったということを褒められるに違いない。ああそうだ。
…みよしの、あとで山内に放送を頼む。」
「はい。…しかし何を?」
「そうだな…。各自宴会の準備を…といっておけばいい。
天魔様ならその謎の神様とやらを気にいるに違いないからな。」
「了解であります!宴会ならみな喜びますよ!」
「ああ。では、私は今から天魔様に報告に行く。…とっておきの酒を用意してな。」
 
「…話は解った。私はその謎の神様と交渉するべきだというだな?」
「ハッ。こちらの情報では謎の神様は信仰を求めているようです。
…向こうもこの交渉を申し出は断る理由がありません。」
「信仰か…。確かに、この山は元々は八ヶ岳。謎の神が、山の神というのならその信仰を集るには、この山以上に尊い場所はこの幻想郷には存在しない。…解った鞍馬。」
「…ということは。」
「…交渉しよう。こちらとしても平和的に解決できるならそれに越したことはないからな。
お互いに山に暮らすもの同士、仲良くしようと。
…ところで、その謎の神とやらは酒は好きなのか?」
「お言葉を返すようですが、天魔様。相手は神様です。酒が嫌いなはずがないと思います。」
「そうだな。でなければ御神酒を奉納する意味はない。
…よし、鞍馬。とびっきりの酒を持参して交渉に向かうとしよう。
そして私がいない間の山は久しぶりに大宴会でも催せと山内伝えろ。あと同様のことを河童たちにも。…交渉は秘密裏に進めたいからな。」
「やはり、思った通りだ…。」
「ん?なにか言ったか?」
「いえ、なにも。」
 
この後、その謎の神様と天魔の交渉は成功し謎の神様は山の一部に住むことが認められた。
そして今では謎の神様達の住まう神社では、度々妖怪の山の住人達の宴会が催される。
 
…と、その宴会の席で鞍馬は思うのだった。
酒とは何なのだろうと。…答えは出なかった。でも、ひょっとしたら酒そのものが神様なのかもしれないと彼女はひとつの可能性を見出すのだった。
 
幻想の山の秋はこうして深まっていくのだった。
 
~視点『犬走 椛』の場合~
 
 「大将棋はこれで二十五日目。そろそろ決着をつけたいものだけど…。
『にとり』はどこにいったのかしらね?」
「あ!椛さん大変です!」
「どうしたの、そんなに慌てて?」
「たった今、報告がありました。侵入者ありとの報告なのです!」
「えっ、まさか!?」
「はい。そのまさかなんですよ。…今『藤』小隊と『萩』小隊が向かっているということですけど…。」
「こうしてはいられないわ。すぐに皆を集めて!」
「解りました。」
「侵入者がいるのなら、私は白狼天狗としての務めを果たさなければ…。」
 
「いいまず、接敵したら順番に攻撃すること。そして侵入者を一か所に追いつめるように!」
「解りました。」
「…来ました!」
「よし!攻撃開始!」
「うわ!」「きゃあ!」「な、なんで!」「ばたんきゅー!」
「…なんて強さなの!これほどの数を全く相手にしないなんて…」
「はあっ!!!」
「なに!?この弾幕をくぐりに抜けるのか!…クッ!」
「…逃げるのに『送り烏』を使うことになるなんて…これは、相当な強さの侵入者だ。
急ぎ大天狗様に詳細を!」
 
「…あれ!?文さん?」
「椛!…どうやらその様子だと、侵入者と戦ったみたいだね…。」
「ええ。舐めていた訳ではないけど、威力偵察のつもりでやったらものの見事に返り討ちを食らったわ。」
「あやや…。椛がそうとなると、緊急放送で出て行った他の部隊も…。」
「…残念だけど、長くは持たないね。」
「そうか…。う~む困ったな…こういうことは記事には出来ないしな…。」
「そう言えば、文さん?何故、報道員の貴方がここに?」
「それは、私が聞きたいよ。…大天狗様に何故か呼ばれてね。」
「そうなの?」
「そうなの。」
「じゃあ、文さん。一緒に行きましょう。…私も報告しないといけないし。」
「解った。椛と一緒ならなんとなく心強いからな。そもそもここは私の専門じゃないし。」
「…なんとなく、は余計な気がするけど。」
 
「あれ?文さんが交渉に出るの?…それにその襟巻は、『九十九の襟巻』じゃない?
でも、それがないとキツイかもしれない。」
「…それほどなの?」
「少なくとも弱くない。…文さん、十分に気をつけて。
私は、このままの侵入者の監視を続けるから。しかし、文さんが交渉役だなんて。
…大天狗様はどうしたのかしら?」
「それが侵入者に会えば、解るという話だったけどね。
ま!会ってみなければ話は出来ないから!…じゃあ、椛!私は行くわ!」
「本当に気をつけて!」
「大丈夫、天狗を甘く見ると痛い目にあうことを教えてあげるわ!」
「いってらっしゃい!」
 
「…偵察の任務の一つとはいえ、こうやって人の戦闘を観賞するしかないというのも酷ね。
盗み見をしているみたいで…。」
「そんな!文さんが押されている!?『九十九の襟巻』の妖力を上回るというのあの侵入者は!?信じられないわ…。」
「あ!…負けてしまった!そんな…」
「うん?でも様子が変ね?…あ!別の方向に飛んで行った!?…あちらは確か、つい最近できた湖…いえ、神社の方向だわ!とにかく、一度戻ったほうがよさそうね。」
 
「やはり、交渉役は文さんで的確でしたね。大天狗様はそこまで読んでいらしたなんて。」
「私も最初は訳が解らなかったけど、侵入者が彼女だったと解ると話がつながったよ。
大天狗様は、交渉役が私なら平和的に解決できると思ったからでしょうね。」
「でも、結局戦闘になってしまいましたね。そして…。」
「戦闘になったのはやむを得ないよ。…向こうの言い分もあるけど、どう考えても侵入してきたほうに非があるからね。それに、下手のことをして人間と繋がっていると思われたらそれこそ一大事だからね。だから、戦ったの。それも手加減して。」
「なるほど。文さんが『九十九の襟巻』をもっても勝てなかったのは勝とうと思わなかったからですか。それなら、先ほどの戦闘も納得できます。」
「ま、あの程度でやられるようじゃ、新しく出来た神社に行っても神様には通用しないよ。」
「相手の目的が我々でないと解った途端に、相手の矛先を別のほうに向け、なおかつ他の天狗たちも納得するような結論を出す。相変わらず文さんは頭の回転が速いですね。」
「よしてよ、椛。照れるよ。」
「まんざらでもないくせに。」
「バレた?ふふ。」
「ふふふ…。」
「…じゃあ、文さん。私は侵入者とその謎の神様の監視に行くよ。」
「解ったよ。椛、気をつけてね。」
「先ほどとは立場が逆になってしまいましたね。…では、行きます!」
「いってらっしゃい~!」
 
その後、椛は大天狗にその侵入者と謎の神様との戦闘などのことを報告する。
そして、ようやく戦闘終了が告げられ、穏やかないつもの山になった時、思わずため息をつくのだった。その後白狼天狗たちに宴会の知らせが入るのは間もなくのことだった。
白狼天狗は、天狗の社会からすれば確かに下っ端かもしれない。
でも、彼女たちを馬鹿にしたり、さげすさむものはいない。それは、彼女たちが天狗の社会に無くてはならない存在だからである。そう、天狗の社会もまた彼女たちの様な優秀な下っ端によって動いているのだから…
 
~視点『射命丸 文』~
 
「いきなり、山内緊急放送で呼び出されるなんて、一体何をしたのかしらと自分でも思ってしまうわね…。」
「うん?あれはもしや…!?」
 
「…しかし、なんで私なのかしらね…。
本来、こういう時の交渉役には白狼天狗がなるものだけれど。
それに行けば解るって言われてもね。…気のりはしないけど仕方ない。
さっさと片付けるとしますか!」
「あやややや…侵入者の報告ででてきてみれば、まさか貴方とは。
―さあ手加減してあげるから本気で掛かってきなさい!」
 
「いてて…まさか、本当に本気で来るとは…。『九十九の襟巻』を身につけていなかったら
今頃もっと痛い目になっていたかも。…しかし、これほど強いなんてね。
今後取材の時は極力怒りを買わないようにしないとね…。」
 
「椛、実際にはどうだったの?」
「大体は報告したとおりですよ、文さん。勝てたと言っても、きわどいところでしたね。」
「ふ~ん…やっぱり強いね。…私も本気を出せばよかったかな。」
「文さん、何か?」
「いえいえ、何も…。それより、今後の我々はどうするのかね?根本的に私たちのほうの問題は解決してないしね。このままいったら、本当にこの山は…。」
「それについては、多分大丈夫だと思いますよ。」
「え?」
「先ほどの大天狗様の様子から察するに、天魔様に謎の神様と交渉するように頼まれるでしょう。…交渉は、多分旨くいきますよ。」
 
「…宴会の用意だって!文さん、これは!」
「どうやら、旨く事が運びそうね。流石、大天狗様。文字通り後で乾杯としましょう!」
 
文はその後、他の天狗たちと盛大に行われた宴会を楽しんだ。
一時はどうなることかと思った謎の神様とのことは、その後の交渉によって実害が無いことが解った。いや、むしろ宴会を楽しむだけで御利益が上がり、山に住む者たちが安定した生活を送れるようになるのならばこれほど素晴らしいことはない。
と文は、思うのだった。…そして、その文の襟元を飾るのは、紅葉の絵柄が美しい襟巻
『九十九の襟巻』だった。
文は、この襟巻を今回の褒美として鞍馬から直接手渡された。また、椛にも同じようなものが手渡されたという。
今回の一件は、山の防衛体制が以外にも弱いものであるということを露呈してしまった。
が、それ以上に露わになったのは天狗たちの強い結びつきだと文は思った。
秋空に吹く木枯らしから身を防ぐこの襟巻をしていると無償にそう思えるのだった。
 
~視点「名も無き戦士たち」~
 
「…あれは!何者だ!?まさか、侵入者!…小隊長!」
九天の滝の麓にいた妖精の一人が、自分より一回り大きな妖精の小隊長を呼ぶ。
彼女は何者かが接近してくるのを見つけたのだった。
「どうした…?」
「恐らく、侵入者です!」
「何!」
小隊長は目を凝らす。すると、確かに九天の滝を登ってくる謎の人物が一人いた。
間違いなく侵入者だ。直感した。
「…みんな、迎撃の支度だ!」
「で、でも…」
小隊長の号令がかかっても多くの妖精たちはおどおどしていた。
無理もない小隊長は思った。
実は、ここにいる妖精たちの全てが天狗の仲間…というわけではない。ここの妖怪たちは天狗たちに自分たちも山の妖怪の仲間に入れてもらう代わりになにかしらの業務についている。もっとも、妖精なのでそれほど活躍することは出来ないが。
妖怪の山の一員になればその恩恵が受けられる。それ簡単にいえば宴会に招待されたり山の中を自由に移動できたりするということだった。大自然の営みそのものである妖精だがやはり妖怪や人間と一緒にいることはなかなか楽しいものである。
しかし、妖精は総じていたずら好きだが、戦闘が好きではない。よって、この九天の滝で
白狼天狗につき従っている妖精や、ここの彼女たちのように見張りについているもののほとんどは戦いを出来ることならしたくないと思っている。だが…。
「…みんな、私だって出来ることなら戦いたくない。…でも。」
小隊長が不意に話し始める。すると妖精たちは一斉に静まり返る。
「私たちが、ここで出来ることをしないと、私たちを歓迎してくれた山の妖怪たちにもっと迷惑がかかる。それに私たちは、『山の一員』だ。…そしてこの山は私たちの『家』だ。
『家』に侵入するものを黙って見過ごすわけにはいかないよ…な。」
小隊長のこの言葉を聞いた妖精たちはみな特徴的な形の刀を手に取る。…これは弾幕を形成する特殊なもので、天狗たちの技術の結晶とも言うべきものだった。
その刀を手にとった妖精たちを見て、小隊長は深く頷く。
「よし、行こう!…『藤』小隊戦闘開始だ!」
 
こうして、妖精たちの多くが滝の裏から攻撃を開始しそれぞれの陣形をとった。
だが、その多くは倒されてしまい、『一回休み』となってしまった。でも、天狗たちの
宴会が始まるころには復帰し、天狗たちと一緒に騒いだのだった。
 
小さく、か弱い妖精たちだが実はとてつもない力を秘めているのかもしれない。
それは大自然そのものが妖精たちであるからだ。そうそれは油断しているとこちらが
『一回休み』になってしまうも。ピチョルのは力あるものだけからとは限らないのだ。
 
こうして、多くの妖怪、妖精を巻き込んだ後に『風神録』と呼ばれる騒動は幕を閉じる。
新しい山の神様は今後もこの幻想郷で生きていくのだろう。新しいものも、そうでないものも全てが幻想の内に存在する。目に見えるものが全てとは限らない。
幻想郷は今も『ココ』に存在するのだ。
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プロフィール
HN:
るどまん
性別:
男性
趣味:
最近はどっぷり東方
自己紹介:
座右の銘は「意志なき所に道はなし」

好きな東方作品は「東方妖々夢」

好きなお方は

八雲 紫

西行寺 幽々子

そして、藤原 妹紅

でも最近、パチュリーと妖夢にみょうにハマる






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